学校長の部屋

2025.08.31

尿失禁

皆さんはまだ若いので、日常生活で「尿がもれてしまう」という経験はあまりないかもしれません。しかし、年齢を重ねると誰にでも起こりうる問題の一つが尿失禁です。

実際には、40歳以上の男性の約3人に1人、女性の約2人に1人が尿失禁を経験しているといわれています。決して珍しいことではなく、多くの人が悩んでいる症状なのです。恥ずかしくて、他人に言えない方もいます。

男性に多いタイプ:切迫性尿失禁

高齢の男性では切迫性尿失禁が多くみられます。これは「急に強い尿意を感じ、トイレに間に合わず漏れてしまう」タイプです。膀胱にそれほど尿がたまっていなくても強い尿意が起こります。原因は脳梗塞や過活動膀胱、前立腺肥大などです。

女性に多いタイプ:腹圧性尿失禁

女性に最も多いのは 腹圧性尿失禁 です。尿失禁全体の約半分を占めています。くしゃみをしたり、重い荷物を持ち上げたりしてお腹に圧(腹圧)がかかったときに尿が漏れてしまいます。
一方で切迫性尿失禁は女性の約2割に見られます。また、腹圧性と切迫性が両方関わる混合性尿失禁もあり、これは約3割を占めます。

主な治療・対応

  • 腹圧性尿失禁:有効なのは 骨盤底筋トレーニング です。骨盤底の筋肉(骨盤底筋)を鍛えることで尿もれを防ぎます。最近は動画や解説資料があり、イメージしやすくなっています。https://jp.charmnap.com/ja/training/video.html
  • 切迫性尿失禁:治療の中心は膀胱訓練です。排尿したくなっても、まず5分間がまんし、次は10分、20分…と少しずつ排尿の間隔を伸ばしていきます。膀胱の過敏さを和らげる効果があります。

まとめ

尿失禁は「高齢者に特有の恥ずかしい問題」ではなく、多くの人が経験する身近な症状です。正しく理解し、適切なケアを行えば改善できることも少なくありません。皆さんが看護師になったとき、患者さんが安心して相談できるよう、ぜひこの知識を覚えておきましょう。