学校長の部屋

2026.06.27

腰痛

看護学生の皆さんへ

腰痛の経験はありますか。患者さんの移乗を手伝うナースにとっては、職業病といってもいいかもしれません。

まず知っておいてほしいのは、腰痛の8-9割は原因がはっきりしない「非特異的腰痛」であるという事実です。椎間板ヘルニアや骨折、腫瘍といった明確な診断がつくケースは、実はごく一部にすぎません。

腰痛の中には、まれではありますが、命や機能に関わる疾患が隠れていることがあります。たとえば、がんや感染(感染性脊椎炎など)、骨折、神経障害などの重大な病気を疑うサイン、いわゆるレッドフラッグ(赤旗兆候)を意識することが非常に重要です。

多くの腰痛で早期のCTやMRIは必要ありません。なぜなら、画像に異常が見つかっても、それが痛みの原因とは限らないからです。症状が全くない人でも、MRI検査をすると椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が20%くらいの人で見つかります。これらの人はもちろん正常です。画像に頼りすぎると、正常な人を病気と誤って診断します。

寝てばかりいると、かえって回復が遅くなることがわかっています。大切なことは、痛みがあっても、できる範囲で日常生活を続けることです。

意外に思うかもしれませんが、アセトアミノフェンは腰痛に対して有効ではないとされています。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の内服や湿布が効果的です。

腰痛の多くは、時間とともに自然に改善していきます。しかし患者さんは、不安の中にいます。「このまま動いて大丈夫なのか」、「重い病気ではないのか」・・・

その不安に寄り添い、重症ではないこと、動いてよいこと、回復の見通しを伝えることは、薬と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なケアです。