
看護学生のみなさんへ
最近、麻疹(はしか)の患者さんが増えています。
麻疹は「子どもの病気」というイメージがあるかもしれませんが、ワクチンを受けていない人や免疫が十分でない人は、大人になってからでも感染することがあります。
将来、医療現場で働く看護師として、麻疹について正しく知っておきましょう。
麻疹はとても感染力が強い病気です
麻疹は、人から人へ非常にうつりやすい感染症です。一人の感染者は12-18人の免疫のない人を感染させてしまいます。
さらに注意が必要なのは、発疹が出る4日前から4日後まで周囲に感染させる力があることです。そのため、「発疹が出てから対応すれば大丈夫」では遅い場合があります。
麻疹を疑う症状
麻疹の初期症状は風邪によく似ています。
代表的な症状(3C)
- Cough(咳)
- Coryza(鼻水)
- Conjunctivitis(結膜炎・目の充血)
これらに加えて高熱がみられます。
その後、
- 頬の内側に白い小さな斑点(コプリック斑) 写真A
- 全身に広がる赤い発疹 写真B
が現れます。発疹は顔から始まり、首、体、手足へと広がっていくのが特徴です。
写真はMeasles 2025(N Engl J Med 2025;393:2447-58)からの引用です。
特に注意したい人
- 海外渡航歴がある
- ワクチン未接種
- 麻疹流行地域への滞在
- 集団生活をしている
- 医療従事者や医療系学生
このような人が発熱と風邪症状を訴えた場合は、麻疹の可能性を考える必要があります。
麻疹は重い合併症を起こすことがあります
麻疹は単なる発熱や発疹だけで終わる病気ではありません。約3人に1人で何らかの合併症が起こるとされています。
主な合併症
- 肺炎
- 中耳炎
- 下痢
- 角結膜炎
- 脳炎
特に肺炎は麻疹による死亡の最も大きな原因です。
また、
- 乳児
- 妊婦
- 免疫力が低下している人
- 栄養状態の悪い人
では重症化しやすいことが知られています。
麻疹にかかると免疫力が低下する
麻疹には少し特殊な特徴があります。麻疹に感染すると、体がこれまでに獲得してきた免疫の一部が失われてしまうことがあります。
これを「免疫健忘(immune amnesia)」と呼びます。麻疹が治った後も数年間は他の感染症にかかりやすくなるため、決して軽く考えてはいけません。
ワクチンが最も有効な予防法です
麻疹ワクチンは非常に効果的です。1回接種で約93~94%の予防、2回接種で約97%の予防ができます。現在の流行の主な原因は、ワクチンの効果不足ではなく、「ワクチンを受けていない人」が存在することです。看護学生の皆さんも、自分の母子手帳などで接種歴を確認してみましょう。
修飾麻疹にも注意
ワクチンを接種していても、まれに麻疹に感染することがあります。これを「修飾麻疹」といいます。通常の麻疹より症状は軽く、発熱が軽く、発疹が少ないですが、人にうつす可能性はあります。そのため、症状が軽いからといって安心はできません。
麻疹は、「見逃さないこと」が何より大切な病気です。
医療機関では、1人の患者さんを見逃しただけで院内感染が広がることがあります。将来、看護師として働く皆さんには、発熱、咳、鼻水、結膜炎、発疹の患者さんを見たときに、「もしかしたら麻疹かもしれない」と考えられる力を身につけてほしいと思います。
また、自分自身を守るためにも、ワクチン接種歴を確認し、感染予防を心がけましょう。感染症に対する正しい知識を身につけ、安全な医療を支える看護師になってください。