
看護学生の皆さんへ
ミヒャエル・エンデの『モモ』には、不思議な少女が登場します。モモの特別な才能は、ただ「人の話をじっと聞くこと」。彼女に話を聞いてもらうと、人々はいつの間にか自分で答えを見つけ、心を軽くして帰っていきます。
「人の話を聞く」。簡単なようで、実はとても難しいことです。私たちは患者さんの話を、本当にゆっくり聞いているでしょうか。
物語では「灰色の男たち」が、人々に時間を節約するよう勧めます。人々は効率ばかりを求め、笑ったり、語り合ったりする心の余裕を失っていきます。
今の私たちも、少し似ているかもしれません。早く、効率よく。それも大切ですが、人生には「道草」も必要です。ぼんやり空を眺める。友人と笑う。ときには一緒に泣く。そんな一見「無駄」に見える時間が、人生を豊かにしてくれます。
看護もまた、時間を誰かに差し出す仕事です。忙しいときこそ、患者さんの目を見て、その言葉に耳を傾けてください。
誰かのために使った時間は、決して失われません。その時間は、きっと あなたの人生をも豊かにしてくれます。